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猫は警戒心が強いため、犬よりは異物を飲み込みづらいとされています。しかし、特に若いオス猫では、しばしば異物による胃腸障害が認められます。おもちゃで遊んでいるうちに勢い余って、というケースが多いようです。胃の中に固形の異物があると吐き気が認められ、よだれが増えることがあります。食道や小腸で異物が詰まると、より重篤になります。
また、異物の中でも特に注意が必要なのがひもです。猫は一般的にひもが好きで、よく遊びます。このひもを飲み込むと、ひもの一端は口の中や胃の中でひっかかり、もう一端はどんどん先へと送り出されていきます。結果としてひもを中心に腸が手繰られたような形となり、ひどい場合にはひもによって腸が裂けることがあります。腸内には大量の細菌が存在するため、重篤な細菌性腹膜炎を発症し、命に関わります。ひもで遊んでいたあと急に食べなくなり、嘔吐が続くなどの場合は緊急処置が必要です。
一般的に認められる寄生虫としては、猫回虫、猫鉤虫、瓜実条虫、コクシジウム症などがあります。いずれも、成猫ではほとんど症状を出しませんが、子猫では嘔吐や下痢が認められることがあります。猫回虫では、嘔吐した際に虫体を吐き出すことがあります。また、瓜実条虫ではゴマ粒大の変節が肛門周囲に付着していることがあります。特に野良猫を保護した場合には、しばしば消化管寄生虫が認められます。そのため、保護直後は症状がなくても一度は糞便検査を受飼い猫が感染してしまったら けることが勧められます。
猫はきれい好きな動物で、よく毛づくろいをします。また、なにかストレスがあると気持ちを落ち着けるために毛づくろいをすることもあります。毛づくろいをすると、その都度少しずつ毛を飲み込んでしまいます。これがたくさんたまってくると吐き気を催すようになり、空えづきを繰り返したり、猫草を食べたがったりします。吐いた際にフェルト状に固まった毛が出てくることがあり、出てしまえば楽になるようです。毛づくろいそのものは止められないため、こまめにブラッシングし、飲み込む毛の量を減らしてあげることが重要です。
猫はあまり水を飲まないため、便秘しやすいと言われています。そのほか、トイレが汚いなどの理由で排便をしなくなり、便秘が悪化することがあります。便秘すると便が出ないほか、繰り返しいきんだ際に嘔吐が認められることがあります。程度がひどい場合には浣腸が必要になります。
腎不全は、尿道閉塞や中毒物質の摂取などにより急激に発症する急性腎不全と、加齢などによって腎臓の機能が少しずつ低下していく慢性腎不全に分けられます。急性腎不全では急激な元気、食欲の低下、嘔吐、下痢などが認められます。尿道閉塞以外でも腎臓で尿が作られなくなることがあり、おしっこが減ります。慢性腎不全は、特に10歳以上の高齢になった猫で一般的に認められる病気です。15歳以上の猫では30%以上が慢性腎不全を患っているとの報告もあります。初期には飲水量の増加、尿量の増加が認められ、薄いおしっこを大量に排泄するようになります。進行すると尿毒症と呼ばれる状態になり、嘔吐やよだれ、食欲低下などが認められます。さらに進行すると腎臓で尿が作られなくなり、おしっこが減ります。人間では人工透析が行われますが、猫では一般的でなく、点滴などによる緩和治療が行われます。慢性腎不全は、早期に発見すれば食事療法などで悪化を遅らせることが可能です。ただし、治癒することはできず、少しずつ進行していきます。
首の部分、気管の横に甲状腺と呼ばれる器官があり、甲状腺ホルモンが分泌され体の代謝を上げ、活性化する作用を担っています。なんらかの原因でこの甲状腺ホルモンが過剰になることが甲状腺機能亢進症です。人のバセドウ病と少し違いはありますが、病気としては類似しています。原因として、日本では甲状腺の腫瘍が多いと言われており、そのため発症は高齢になってからのことがほとんどです。良性と悪性の腫瘍が混在していますが、腫瘍の転移よりもホルモン過剰が問題となります。症状としては活動性の増加、攻撃性の増加、過食、水をたくさん飲む、食べるのに痩せる、毛がパサパサになる、などがあります。吐き気や下痢が見られることもあります。また、猫は通常犬のように口を開けてあえぐことはほとんどありませんが、甲状腺機能亢進症の猫ではしばしばこの症状があります。一般に高齢猫は寝ている時間が増えますが、妙に活動的で動き回るようになった、おとなしかったのに威嚇したり攻撃してくるようになった、などから気づかれることも多いようです。治療としては薬でホルモンを抑えたり、手術で甲状腺を摘出したりします。
リンパ腫は猫で最も多い悪性腫瘍とされています。リンパ腫は全身様々な部位に発生しますが、最も多いのが胃や小腸、大腸といった消化管とされています。また、胸の中の心臓の前あたりにしこりを作る縦隔型、鼻にしこりを作る鼻腔型などが比較的多く認められます。血管やリンパ管の中に存在するリンパ球と呼ばれる白血球の一種が腫瘍化したもので、白血病に近い病気です。そのため、しこりを作っている場合でもそこだけの問題ではなく、全身に広がっていると考えられます。したがって、治療には主に抗がん剤が用いられます。症状は発生部位によって様々で、消化器型では嘔吐や下痢、体重減少が認められます。縦隔型では胸水が溜まることが多く、呼吸が苦しくなります。鼻腔型ではくしゃみや鼻水、鼻出血が一般的です。リンパ腫は8歳以上で多くなるとされていますが、2~3歳くらいで発症することもあります。縦隔型は猫白血病ウイルスに関連したものがほとんどで、若い年齢での発生が多いとされています。猫免疫不全ウイルスは猫白血病ウイルスほど直接的ではありませんが、リンパ腫の発生率を高めるとされています。