- ホーム>
- 症状別猫の病気検索(おしっこが出ない、少ない)
猫下部尿路疾患は、排尿困難や頻尿、不適切な排尿を引き起こすさまざまな疾患の総称です。その中でも、原因不明に突然発症する特発性膀胱炎が猫にはしばしば見られます。原因としては、トイレや猫砂などの環境の変化、ストレスなどが挙げられ、神経質な性格の猫では、家に来客があったり、逆に長時間家を空けているだけで発症することがあります。トイレに何度も出入りする、長時間排尿姿勢をとる、排尿時に唸ったり鳴いたりする、一度の排尿量は少ないなどが特徴で、トイレ外での排尿もよく見られます。また、血尿も一般的です。
猫ではストラバイトとシュウ酸カルシウムという2種類の結石が一般的に認められます。特に若いオス猫では、砂状の結石による尿道閉塞がしばしば見られます。尿道が閉塞するとおしっこを出したくても出せず、トイレで唸りながら何度もいきむ様子が観察されます。おしっこが長期間出ないと腎不全になり重篤な状態に陥ります。体質とドライフードが原因とされています。尿路結石を予防する食事(c/d、pHコントロールなど)もありますので、動物病院にご相談ください。
腎不全は、尿道閉塞や中毒物質の摂取などにより急激に発症する急性腎不全と、加齢などによって腎臓の機能が少しずつ低下していく慢性腎不全に分けられます。急性腎不全では急激な元気、食欲の低下、嘔吐、下痢などが認められます。尿道閉塞以外でも腎臓で尿が作られなくなることがあり、おしっこが減ります。慢性腎不全は、特に10歳以上の高齢になった猫で一般的に認められる病気です。15歳以上の猫では30%以上が慢性腎不全を患っているとの報告もあります。初期には飲水量の増加、尿量の増加が認められ、薄いおしっこを大量に排泄するようになります。進行すると尿毒症と呼ばれる状態になり、嘔吐やよだれ、食欲低下などが認められます。さらに進行すると腎臓で尿が作られなくなり、おしっこが減ります。人間では人工透析が行われますが、猫では一般的でなく、点滴などによる緩和治療が行われます。慢性腎不全は、早期に発見すれば食事療法などで悪化を遅らせることが可能です。ただし、治癒することはできず、少しずつ進行していきます。
糖尿病は猫で比較的多い内分泌(ホルモン)の病気で、人の糖尿病と同じように肥満に伴って発症するものと、膵炎の後に発症するものの2つのタイプがあります。糖尿病ではインスリンと呼ばれるホルモンが重要です。インスリンは通常は膵臓で作られ、血液を介して全身に運ばれ、血液中の糖分を体の細胞(とくに脂肪や筋肉の細胞)に取り込む働きをしています。肥満になった猫では脂肪が増えるため、インスリンの働きが間に合わず、糖分を取り込みきれなくなります。また、膵炎を発症した猫は、膵臓がインスリンを十分作れなくなるため、やはり糖分を取り込めなくなります。結果として血糖値が上がり、余分な血液中の糖分が尿の中に漏れてくるため、「糖尿病」と呼ばれます。症状としてはおしっこの量や回数が多くなり、その分たくさん水を飲むようになり、体重がどんどん減っていきます。ごくまれに神経に異常をきたし、ジャンプできなくなったりすることもあります。糖尿病の初期であれば、食事や体重の管理で治療することができ、まれにですが治癒することもあります。進行するとインスリンの注射が必要になってしまいます。
首の部分、気管の横に甲状腺と呼ばれる器官があり、甲状腺ホルモンが分泌され体の代謝を上げ、活性化する作用を担っています。なんらかの原因でこの甲状腺ホルモンが過剰になることが甲状腺機能亢進症です。人のバセドウ病と少し違いはありますが、病気としては類似しています。原因として、日本では甲状腺の腫瘍が多いと言われており、そのため発症は高齢になってからのことがほとんどです。良性と悪性の腫瘍が混在していますが、腫瘍の転移よりもホルモン過剰が問題となります。症状としては活動性の増加、攻撃性の増加、過食、水をたくさん飲む、食べるのに痩せる、毛がパサパサになる、などがあります。吐き気や下痢が見られることもあります。また、猫は通常犬のように口を開けてあえぐことはほとんどありませんが、甲状腺機能亢進症の猫ではしばしばこの症状があります。一般に高齢猫は寝ている時間が増えますが、妙に活動的で動き回るようになった、おとなしかったのに威嚇したり攻撃してくるようになった、などから気づかれることも多いようです。治療としては薬でホルモンを抑えたり、手術で甲状腺を摘出したりします。